職業的な住 み分けが卓越

061n_72

わが国の都市について歴史地理学的アプローチによって明らかにされた都市内部構造研究からは,城下町における身分制社会制度がもたらす居住分化が矢守(1970),後藤(1981)など数多くの研究事例で紹介されている。田辺(1979)は,日本の大部分の都市は封建時代に起源をもち,封建都市の地域構造とそれらの明治維新以降の変化が2種類の同心円構造の重合であり,城下町の城郭地区中心の同心円から商業地区中心の新しい同心円が形成されてきたと述べている。これらの研究は,資本主義的な都市が成立する以前の封建都市においても居住分化がみられたことを示すものであるが,この点に関してヴァンス(Vance;1971)は産業革命以前の都市における居住分化は,職業的な住み分けが卓越すると主張した。
また,野尻(1986)は人文地理学方法論と生態学的視点の関係をみた中で,ディッキンソン(Dickinson;1970)による『RegionalEcology』から,生態学的視点に与えた3つの決定要素(位置(site),共生(symbiosis),革新(innovation))を紹介しているが,そのうち位置(site)は「人間の居住に関連するいろいろな自然条件の特徴的な組み合わせが同質的な地域」とされ,さらに,野尻はモーガン・モス(MorganandMoss;1967)からコミュニティ概念の地理学への応用可能性として,「コミュニティの構成要素と居住地との間の相補的な関係」をあげている。
しかしながら,藤田(1990)は,シカゴ学派以降の都市の内部構造研究における「諸理論および概念的把握は,独占の初期段階あるいは現代段階でも中小都市レベルの地域分化の形態的説明においてある程度の有効性を持つ」が,「そこには,価値視点の欠落という本質的な問題が内包されている。このため,現代段階の大都市の地域分化を説明するのに無力となる」と指摘している。
業者が所有している資格よりも重要なのは実績でしょう。←こちらから業者選定への情報収集を始めましょう。
また,矢田(1982)は,都市内部構造研究の欠点として,地域分化が形成される機構の社会科学的分析が欠落していることと都市内部構造をとりまく社会経済機構,特殊的にはアメリカないし日本資本主義の機構との内的関連を欠いていることを指摘し,これらの原因として「都市を人間集住の一形態,都市の地域分化を人間同士の相互接触に基づく,などという人類の一般の生態としてしか把握しえなかった点に根ざしている」と批判している。

Comments are closed.